北アルプスの雪山を軽アイゼンで登れる!
「軽アイゼンしか持ってないけど、北アルプスの雪山で登れる所ってあるの?」
「ゴールデンウィークの長期休みに、北アルプスに登ってみたい!」
と思っている方は、意外といらっしゃるのではないでしょうか。
私も、その中の一人でした。
結論、北アルプスの雪山を軽アイゼンで登ることは可能です!!
ただし、残雪期(4月~8月)の限られた山でかつ天気が良い日に限ります。
実際登れる山としては、蓼科山(2531M)や燕岳(2763M)・焼岳(2455M)・常念岳(2857M)などなど調べると意外と出てくるでしょう。
今回は、この中で実際にゴールデンウィークに登ってきた常念岳のレポートを紹介します。
危険箇所や注意点なども記載しています。みなさまの参考になれば幸いです。
常念岳とは
【山域】
飛騨山脈、常念山脈、北アルプス
【標高】
2,857m
【出会える高山植物】
チングルマ、コマクサ、ハイマツ etc…
【出会える動物】
雷鳥(2,400m以上の森林限界より上)
【登山口】
中房登山口(表銀座ルート)
一ノ沢登山口
三股登山口
横尾登山口
徳沢登山口
【所在地】
長野県松本市、安曇野市
右図のオレンジの点
【その他】
日本百名山、高山蝶(ミヤマモンキチョウ)
実際のレポート
登山の概要
【登山口・ルート】一ノ沢登山口・一ノ沢ルート
【タイム】9時間 (1時間程度の休憩含む)
【距離】14km
【高低差】1,610m
【駐車場】あり (無料:第1駐車場 約30台、第2駐車場 約30台)
【天気】曇りのち晴れ
【アクセス】長野自動車道 安曇野ICから車で40分
登山口までの道に積雪・凍結は無し(4月下旬)
実際の工程と注意点
前日の23時に駐車場到着。仮眠をとり早朝5時に出発。真ん中にうっすら見えるのが、登山口から見える山頂(上写真)。非常に遠くに見えます。それもそのはず、総工程14km高低差1,610mのルートだからです。高低差を具体的に例えると、530階建ての足場がものすごく悪いビルと同じくらいです。
今回登った一ノ沢ルートは沢に沿って登っていくルート
途中小さな沢を数個超えて行きます。川幅は2~3m程度でぎりぎりジャンプできないくらいの川幅が多いです。
ここが、今回の登山の最大の注意点!!
沢の水は、勢いよく流れていますが、水中の飛び石は凍っています!!
実際、滑りましたが、川に転落する事もなくほっとした瞬間、、、後続の仲間が、滑って沢に転落(笑)冷たーーい雪解け水に腰までつかっていました(笑) 幸いにも着替えを持っていたので、登山は続行できましたが、皆さん最大限の注意を払って沢を渡るようにしてください。
一ノ沢ルートの初め2時間くらいは緩やかに登っていきます。
登山口から30分ほど歩くと積雪が見え始め、さらに30分後くらいから軽アイゼンを装着。
登山口から2時間ほどで、笠原沢という開けたエリアに到着しました。ここで、小休止を取ると良いでしょう。ここからが、常念岳の本番です。小休止で備えましょう。
笠原沢からも見えていますが、「えっ!?ここ登るの?」って感じの急登が現れます。ここから稜線まで急登が続きます。滑落しそうなくらいの斜度ですが、滑落しても十分停止する事が出来ます(根拠は後ほど)。ただし、早朝などはアイスバーンになっている事があるので注意が必要。
この急登を登りきると、常念小屋がある稜線に出ます。ここからは、穂高連峰や槍ヶ岳などの北アルプスの絶景が望めます。急登での苦労が報われる瞬間です。さらに、ここから山頂までは一時間程度かかります。
稜線には、積雪は10~20cm程度で、かつ岩が露出しているので、アイゼンは外しても良いでしょう。ただし、山頂までの道のりでところどころが、カッチカチに凍っているので、雪山の歩行に慣れていない方は、アイゼンを装着しましょう。
常念小屋から30~40分程度歩くと、ここを登ったら山頂かな?というピーク(いわゆる疑似ピーク)があります。ここを超えると山頂までは積雪があるので、必ずアイゼンを装着しましょう。
アイゼンを装着したら、常念岳の山頂直下の最後の登りに突入します。滑落するとまず助かる事はないだろうという山頂直下の最後の登りです。かなりの急登で、10本爪アイゼンの短い爪では、なかなかアイゼンが効かず、数回ひやりとしましたが、何とか山頂に到着。北アルプスが一望できる常念岳の山頂です。山頂で、穂高連峰・槍ヶ岳などの北アルプスの山々を眺め、常念小屋に向けて下山しました。
ちょうど、12時頃のお昼時だったので昼食を取り、下山。
常念小屋の人に、1時間半くらいで降りれるよと言われましたが、半信半疑
登りに4時間半かかったのに、、、
結果はなんと、1時間40分くらいで下れました!
夏山なら到底不可能な話ですが、ここは雪山です。そして、雪は滑ります!
笠原沢から常念小屋までの急登を滑り降りました(笑)これが、笠原沢からの急登で滑落停止が出来る根拠です。実際かなりのスピードで滑り降りました。
15時頃に、一ノ沢登山口に到着。
ちなみに、帰りの沢の飛び石は、凍っていませんでした。
雪と北アルプスと雷鳥
なんと山頂直下の登りの手前で、雷鳥に遭遇!1mくらいの至近距離で雷鳥を見る事が出来ました。なかなお目にかかれない、雪と雷鳥のコラボです。残雪期という事もあり、真っ白という訳では、なかったですが、愛くるしい姿を見せてくれました。
北アルプスの登山では、雷鳥のような珍しい動植物と出会える事があります。是非、出会える事を祈りながら登ってみてください。
後日談
日焼け止めを忘れていたので、筆者をはじめとする一行は全員、重度の日焼け(笑)
冗談抜きで顔中が腫れあがり、露出していた部分の皮がすべて剥がれました。
雪山だからといって油断せずに、日焼け止め・サングラスなどの日焼け対策を忘れずに!
まとめ
北アルプスの常念岳、それも残雪期の雪山ですが、10本爪軽アイゼンで登る事が出来ました。距離・高低差・装備の多さから、かなりストイックな登山になる事間違いなしですが、軽アイゼンでの雪山歩行にかなりの自信がある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
※あくまで自己責任でお願いします。
なお、12本爪以上のアイゼン・ピッケルなどの十分な装備を整えたうえで臨むことを推奨します。
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